
Photoshopでイラストを描く時は、どんなツールを使って、どんな作業をしているのか知りたいな~!



初心者の方でもわかりやすいように、実際にイラストをゼロから描きあげながら、作業工程を記事にしてみました!
この記事ではこんな事がわかります
- Photoshopでリアルで厚塗りタッチのイラストを制作する方法
- Photoshopを使ったグリザイユ画法の描き方
この記事を書いたのはこんな人です


卯月まめ
- Photoshop歴 22年
- イラストレーター歴 13年(2009年~)
ゲームに登場するモンスターやアイテム、書籍の挿絵などのお仕事をしています。
リアルで厚塗りのイラストが得意。特に動物が得意で、伝説上の生き物やモンスターなどファンタジー系をよく描いています。
Photoshopはとても優秀な画像編集アプリです。
名前の通り、写真の編集加工はもちろん、イラストを描く事もばっちりできるし、ロゴやバナー制作も簡単にできる、クリエイティブ活動の大きな手助けになってくれます。
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Photoshopの作業画面はこんな感じ


Photoshopでの作業画面はこんな感じです。
ウィンドウは自由に動かせるので、自分の描きやすい配置にしています。
キャンパスを新規作成して、アタリ~下描きを描く
まずはPhotoshopを起動させ、頭の中のイメージをおおまかに描いていく作業です。
新規キャンバスを作成する


新規のキャンパスを作成します。
上部メニュー「ファイル」→「新規」をクリックします。


イラストに合ったサイズのプリセットを選びます。
「幅」「高さ」を自分の好きな数値に入力してもOKです。
最後に「作成」ボタンをクリックすれば、新規のキャンバスが表示されます。





自分の好きなサイズのプリセットを作っておくと便利ですよ
プリセットの作り方はこちらに詳しくまとめてあります
新規レイヤーを作成する
新しいキャンパスを開いた状態では「背景」のレイヤーしかない状態です。
そこで新規レイヤーを作成します。


レイヤーを新規作成する方法は
- レイヤーウィンドウの+ボタンをクリック
- 上部メニュー「レイヤー」→「新規」→「レイヤー」をクリック
どちらかでできます。




▲例えばこちらのイラストは「模様」「ねずみ」「影」で分けられています。
レイヤーごとに合成モードを設定できるので、「模様」のレイヤーは乗算にして、下のレイヤーよりも色が濃くなるような設定にしています。他にもレイヤーごとに、オーバーレイや不透明度、影や光などの様々な特殊効果を付ける事ができます。
また、レイヤーをうまく使えば、描いて失敗する事も減らせる事ができますよ。
レイヤーの基本的な使い方はこちらから
レイヤーにアタリを描く




新規作成したレイヤーに、大まかなイメージをざっくりとした線で描いていきます。



アタリや下描きでも、消したり移動させたりする時も簡単にできる、新規レイヤーで描くのがおススメです。
バランスの崩れや、細かい修正はのちのち行うので、「どんなポーズなのか」「どれぐらいの大きさなのか」「どっちを向いているのか」など、まずは全体のだいたいのイメージがわかるように描ければOKです。
さらにレイヤーを新規作成して下描きを描く




アタリを描いたレイヤー1の不透明度を、25%ぐらいに下げて色を薄くします。
その上にレイヤーを新しく作成して、下描きを描いていきます。
似たポーズのキツネの写真を参考に見たりしています。何かを参考に見る事はクオリティアップにも繋がります。
ただし、先に写真を見て描くと、パクリ(盗作)になる恐れがあります💦



バランスが崩れてても良いので、まずは自分で考えたポーズや構図で描いてから、部分的に参考程度に見るようにしています。
なげなわツールで選択して、自由変形で修正する


細かい部分を修正していきます。
なげなわツールで修正したい部分をかこい、自由変形などの変形ツールを使って角度や大きさを変えていきます。
変形ツールでの修正方法はこちらに詳しくまとめています
選択ツールを使ってレイヤーを切り分ける


今回のイラストは九尾の狐ですが、普通の狐バージョンにもできるようにしたかったので、しっぽ部分を切り分けました。
選択ツール→右クリック→選択範囲をカットしたレイヤーで切り分けます。
レイヤーはこんな感じで、わかりやすいように名前を変更しておきました。
- 手前のしっぽ3本
- 本体
- 奥のしっぽ5本
また、レイヤーの配置はドラッグで変更できるので、奥にあるものは下に、手前にあるものは上に置きます。


【グリザイユ画法】モノクロで描き込んでいく
グリザイユ画法とは、モノクロである程度まで描き上げて、上から色を乗せていくイラスト技法の事です。
ベースはモノクロのままなので、あとから色や模様を違うものと、差し替える事もできます。
ベースになる部分をベタ塗りする




アタリのレイヤーは不要になったので削除しました。
下描きレイヤーの下に、レイヤーを新規作成してイラストにあわせてベタ塗りをします。
あとから描き込みや修正をするので、はみ出しなどはあまり気にせずにザクザクっと塗っていきます。
このレイヤーがイラストのベースとなります。


今回は大きく3つに分けてますが、イラストによっては「小物」や「目」「耳」「服」などの、パーツごとにレイヤーを分けたりします。
レイヤーのロック機能を使い、ざっくりと光と影を描く




レイヤーを選択して、透明度のロックアイコンをクリックすると、透明度を保護する事ができます。
つまり先に色を付けたところ以外は、描いたり塗ったりする事ができなくなる機能です。
はみ出しなども気にせず色を塗る事ができるので、とても大きなサイズのブラシで光と影をざっくりと描いていきます。


ブラシはAdobe公式サイトでダウンロードができるMEGAPACKのDrowing Boxに入っている、こちらの大きなブラシを使っています。
公式サイトのブラシの入手方法や、ブラシの追加方法などはこちらをどうぞ
レイヤーを結合する




透明度のロックは解除します。
下描きのレイヤーを不透明度25%前にして薄くしたあと、ベースのレイヤーと結合させます。
回転ビューツールを使って、描きやすい角度にする


回転ビューツールを使ってキャンバスを回転させて、描きやすい角度にしたり、参考にしている写真に近い角度にして、よりクオリティアップをはかります。
この時は参考にしていた写真が右向きだった為、さらにキャンバスの左右反転もさせています。


荒く描き込んで、指先ツールや混合ブラシでなじませる


影や光を意識しながら、荒く描き込んで、指先ツールや混合ブラシなどを使ってなじませます。
色や模様などは考えず、グレーだけで陰影を出していきます。
描く→なじませるを繰り返して、納得がいくまで描き上げます。



イラストにもよりますが、モノクロ(グレースケール)で仕上げ寸前まで描きあげちゃう事も多いです。
今回のこのイラストもほぼ仕上げまでモノクロで描き込みました。


Adobe公式ブラシ Megapack – Drowing Box
主にこちらの混合ブラシを使いました。
ぼかしながら少し色が引き伸ばされる感じです。


Adobe公式ブラシ Watercolor
透明部分があたるイラストの端っこの部分は、指先ツールの方がうまくぼかしたり、伸ばしたりできます。
しっぽや首などの、毛量の多い部分に使いました。
まだブラシに関しては自分に合ったものを探している最中です💦
また使い勝手の良いブラシが見つかったらお知らせしますね。
公式サイトのブラシの入手方法や、ブラシの追加方法などはこちらをどうぞ
Adobe公式のブラシがどんなものなのかをザっと紹介します
便利なブラシで、簡単にふわふわな被毛を描く


被毛はふわふわな毛が簡単に表現できるブラシを使っています。



時短にもなるし、クオリティアップにも繋がるので、描きやすいブラシを作ったり見つけたりするのも大事ですね。


乗算モードにしたブラシを使って影をより濃くする




各レイヤーの透明度をロックして、乗算モードにしたブラシを使って、尾や首もとなどの重なりあう部分の影を少し濃くしたことで、より立体感や存在感が出てきました。


ブラシは最初から入っているエアブラシを使って、ふんわり描いています。
オーバーレイのレイヤーを使い、色を塗っていく
ベースの描き込みが完了したら、色を塗っていきます。
見やすくするため、背景を黒色で塗りつぶす




真っ白い背景のままだと、白いハイライトなどは見えなくなってしまうので、黒い背景を用意します。
黒色で塗りつぶしたレイヤーなら、黒背景の不透明度を下げてグレーにしたり、レイヤーを非表示にして白色にする事もすぐできるので便利です。
クリッピングマスクを使い、イラストからのはみ出しを防ぐ
強く光が当たっている部分の色(ハイライト)を塗るための準備をします


- マスクを適応したいレイヤーの上に、新しいレイヤーを作成(名前をハイライトにしました)
- ハイライトのレイヤーを右クリック
- 「クリッピングマスクを作成」をクリック
レイヤーの透明度にロックをかけて描くのと似ていますが、クリッピングマスクの場合、レイヤーが分けられているので後から表示を消したり、色調調整などを個別でする事ができます。
レイヤーモードをスクリーンにしてハイライトを描く




「ハイライト」のレイヤーのモードをスクリーンにして、白色でハイライトを描き込みます。
ベースのレイヤーに直接ハイライトを描き込んでも良かったんですが、背景やイラストの使いどころによっては、光の当たる位置を変更したり、ハイライト自体を非表示にする場合もあるので、別レイヤーで描きました。



レイヤーを分けると臨機応変に変更しやすくなります💡
さらにレイヤーを作成、オーバーレイモードで色を塗っていく




「ハイライト」の時と同じく、レイヤーを新規作成してクリッピングマスクを適用します。
クリッピングマスクのレイヤーは好きな数だけ適用できます。
レイヤーの合成モードをオーバーレイにして色を描き込んでいきます。


モノクロで描いたベースがある程度描きあがっているので、ざくざく塗っていきますが、一色単に塗るのではなく、濃淡を意識したり、違う色を混ぜてみたりするとさらに「それっぽさ」が出てきます。
さらにレイヤーを追加、紫色を薄く重ねて奥行感を出す




レイヤーを新規作成して、クリッピングマスクをします。
合成モードは「通常」です。
レイヤーの位置は、カラーとハイライトの間にします。
グレーがかった紫色を影の部分に、めちゃめちゃ薄く、ほんのり色を乗せる程度にします。
どうしても濃く描いてしまう場合は、レイヤーの不透明度を下げたり、ブラシの不透明度を下げてから描くのもアリです。全体を見ながら調整します。





グレーがかった紫や青を入れると、奥行き感や味わい深さが出ます
仕上げにエフェクトやパーティクルを描く
イラストの仕上げにエフェクトやパーティクルを描いていきます。
ブラシの描写モード 覆い焼きを使って光っている火の玉を描く




狐火を描き込むための新規レイヤーを作成します。
レイヤーの合成モードは「通常」設定です。
ブラシの描写モードを覆い焼きに設定して、青っぽい色でそのまま描き込みます


火の玉の中心部分を白くなるまで重ね塗りすると、炎っぽさが表現できます。
別のレイヤーを新規作成して、火の玉で狐の体が青く照らされて部分を描き込んでいきます。
レイヤー設定は「通常」、クリッピングマスクもなし、火の玉と同じように覆い焼き設定のブラシで描いています。
火や炎の描き方の詳細はこちらから!
レイヤー効果 光彩を使いパーティクル(光の粒)を光らせる




レイヤーを新規作成して、ブラシでパーティクルを白色で描きます。
パーティクルブラシの作り方はまたそのうち記事にしたらお知らせしますね。


パーティクルのレイヤーをダブルクリックします。
するとレイヤースタイルというウィンドウが表示されるので、光彩(外側)にチェックを入れて、画面を見ながら細かく設定をしていきます。今回は上記のようなに、ほんのり青く光ってる感じにしました。
イラストの完成


これでこのイラストは完成です✨



Photoshopでも、リアルで厚塗りタッチのイラストを描く事ができます✨
Photoshopを使いこなす事ができれば、イラスト制作の他にも、写真の編集や、ロゴ、バナー制作も簡単に作れるようになって、クリエイティブな活動にとても有利になります。
ただし、Photoshopにはたくさんの機能があり、いきなり無理して全部を使おうするのは難しいです💦
まずはイラストを楽しく描ける程度に機能を覚えていけば良いと思ってます。
初心者の人はまずこちらの記事がおすすめです

